1.被害発生
当社管理物件で、入居者から一報が入ります。
「1階エントランス天井に設置されている防犯カメラが、誰かに落とされています。」
防犯カメラへのいたずらは、珍しいことです。それまでの犯行が映っている可能性があるものをターゲットにはしにくいためです。
どちらにしてもいたずらであれば、防犯カメラが壊れていても、レコーダーにそれまでの画像データが残っているので犯人はすぐ判明するはずです。
警察への被害届も検討する必要があるかもしれないと思いながら現地に向かいます。
2.状況確認と応急処置
現地に到着し、まずは状況確認からスタートです。
確かに防犯カメラは落下していましたが、いたずらが原因ではなさそうです。
なぜなら落下していた床には水が溜まり、天井からは水がしたたり落ちています。防犯カメラの設置場所の天井にも濡れ跡があり破れていることから、どこからか発生した水が、防犯カメラ設置場所に溜まり、天井がふやけて破れたことが原因だと考えられました。
漏水がエントランス上で発生していることに細心の注意が必要です。入居者や来館者など不特定多数の人が行き来する場所であるため、服が濡れた、荷物が濡れた、滑って転んだなど二次被害の発生が予測できるため、その防止対策を徹底する必要があります。
応急処置では二次被害対策として、水がこれ以上他に漏れ出すことのないようにする必要があります。
まず、養生にて漏れ出る水をバケツに誘導する作業と、入居者、来館者への注意喚起として漏水があることと処理対応中であることを貼り紙で掲示し周知します。
不便な思いを長期間強いることもできませんので、同時に止水の早急な対応が必要になります。
漏水場所の真上は、2階の洗面台や洗濯機がある場所の為、そこからの漏水が考えられます。2階の該当部屋に訪問するも留守だった為、その場から架電。状況を説明し漏水調査協力を取り付け、業者を手配しました。

3.調査と修理施工、経過観察
継続的に漏水が続いていることから、給水管のトラブルが原因である可能性が高くなります。
漏水対応では可能性の高いところから潰していくというセオリー通り、室内の給水管を点検する為、洗濯機置き場にある点検口から確認したところ、漏水箇所を発見。その箇所の部分修繕を即実施しました。経過観察を通してエントランスへの漏れが止まっていることを確認し、止水補修が完了したと判断しました。
4.エントランス天井補修に着手
完全に止水が確認できたため、火災保険会社に事故報告を行い、エントランス補修工事を手配し、保険申請対応も含め補修が無事に完了。補修費用は全額保険適用となりました。

5.共用部漏水対応のポイント
共用部での漏水対応で大事なことは
・スピード対応
・2次被害防止対策
・適切な告知・掲示
共用部に限ったことではないですが、漏水対応にスピードは不可欠です。建物の保全のためはもちろん、不便な状態の継続はクレームへ発展する恐れがあるので、その場その場での判断が重要です。
今回のように多くの人が通行するエントランスでの漏水の場合、通行する人に被害が及ばないように応急処置と危険箇所の表示などで注意してもらえる状態をつくります。
そして最後に、適切な告知です。
今事例であれば、エントランス天井の復旧工事をする際、通行規制が必要なことも予想できたので、早い段階から、復旧工事時に通行規制が発生する可能性があることも掲示しました。
経過状況から補修完了まで、状況の変化をお知らせすることが重要です。特にエントランスは空室の内覧に来られる人も、目にするだけにマイナス印象を与えないように対応します。
共用部への漏水は室内へのそれよりも被害が広範囲となり、影響を受ける人が多くなりがちです。
こうした危機意識のもと、適切な対応と告知で二次被害抑止、クレーム抑止を実施、更には空室の案内にも影響がでないよう段取り対応も必要になります。
共用部の漏水時の参考にしてください。