オートロック設備の変化
防犯の観点から、新築されるマンションにオートロック設備がついているのはもはや当たり前だと言われます。
ひと昔前のオートロック設備とは違い、最新設備は進化し続け、キーレス式オートロック設備の新築マンションでの採用が増えています。オートックキーを挿し込み開錠するのではなく、指紋認証・静脈認証、リモコンキー式、ICカード、スマートフォンなどの操作でオートロック開錠を行えるようになっています。
しかし、現状既築の賃貸マンションで圧倒的に多いのは、暗証番号を入力して開錠するタイプのオートロック装置です。設置から20年以上経過しているオートロック装置が多く、メーカーの部品供給終了に伴い、オートロックのリニューアルを検討しなければならないマンションが増えています。
オートロック故障の再発?
暗証番号を入力して開錠するタイプのオートロックが設置された単身マンションで、21時頃から入居者の方々から「暗証番号を入れてもオートロックが開かない。建物に入れない。」「オートロックが故障している」等の連絡が相次ぎました。
不具合発生が夜間であった為、在宅中の入居者さんに協力を仰ぎ、1階エントランスのオートロック錠を建物内から開錠してもらい、再度、施錠しないよう、チラシ専用ごみ箱を玄関ドアに挟んでもらうよう依頼しつつ、修理業者を手配しました。
現地に向かいつつ、首をひねります。なぜならこの単身マンションでは、3年前に既に「オートロックリニューアル工事」を実施しているからでした。
「こんなに早く故障するものなのか?」と疑問に思いながらも修理業者と調査したところ、故障はオートロック本体ではなく、機械室に設置されている「電気錠制御盤システム」がエラーを起こしたことが誤作動の原因でした。「常時開放」とエラー認識していたことで、暗証番号を入力してもすでに開放されていると認識し、開錠へ作動しなくなっていたことが判明しました。
つまり、オートロック本体の不具合ではなく、オートロックと連動している電気錠側の不具合が原因でした。

オートロック修理対応
システムを初期化しても復旧できず、やむなく応急的に「電気錠制御盤システム」の電源を落とし施錠できないようにして、「故障中 修理予定」の張り紙を掲示しました。
すぐに、電気錠制御盤システムが修理対応できるかどうかをメーカーに確認するも、案の定、すでに廃盤品で部品供給がない為、「電気錠制御盤システム」そのものの交換が必要です。同じく、エントランスドアについている電気錠も、システムから開錠信号が出ても作動しないこともわかり、「電気錠」も合わせて交換をすることとなりました。
今後、オートロックや電気錠の予測できない突発的な不具合により入居者が出入りできない事態を回避する為、エントランスドアにシリンダー錠を増設し、手動で出入りできるように対応します。そのオートロックキーを入居者全員に1本ずつ配布しました。
また、新入居された方にも同じく、部屋鍵とは別にオートロックキーを配布することで、今後の不具合発生時の回避策としました。

まとめ
暗証番号式オートロックで築年数が経過した物件では、「オートロックリニューアル」の検討が否が応でも必要です。その際は、この事例のようにオートロックだけではなく、電気錠制御盤システムと電気錠のチェック、交換も一緒に検討することをお勧めします。
今回は偶然避けることができましたが、電気錠や、システムが完全に故障し、全く動かなくなった場合には、サンダー等で鍵を切り落として開錠する必要があり、鍵屋からみてもできればやりたくないトラブル解決策だという事です。
また、暗証番号だけでしか開錠できない物件では、電気錠側のシステムエラーで「入館できない」というトラブル回避の為にも、シリンダーを増設し、各入居者へオートロックキーを配布していた方がよいと思います。シリンダー増設と入居者分の複製キー作成のコストは低い割に、トラブル回避の効果は大きいと考えられます。