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2023.09.20

#コラム

#管理力

制度スタート目前~インボイス制度~賃貸借契約にかかわる消費税を今一度理解しましょう!

制度スタート目前~インボイス制度~賃貸借契約にかかわる消費税を今一度理解しましょう!

2023年10月1日からインボイス制度が開始されます。
開始後は、仕入税額控除を受ける際に、基本的には売り手(賃貸マンションでは賃貸人)が発行した「適格請求書」などを保存する必要があります。

※概要の記事はこちら 
インボイス制度・スタート間近!賃貸オーナーが注意すべきこととは?

開始が直前に迫ったこのタイミングで、再度、建物賃貸借契約に関わる消費税の内容を確認いただくと共に、改めて必要な対応についてご説明いたします。

課題

  • 賃貸借契約にかかる消費税の種類
  • 課税事業者の場合の懸念
  • 免税事業者の場合の懸念

解決

  • 家賃共益費 駐車場等 水光熱費の取り扱い
  • 新規契約書のインボイス番号等の記載事項の確認は必須
  • 退去の発生や新規募集への影響から変更の判断も必要

建物賃貸借契約にかかわる消費税

①【家賃・共益費(管理費)】

建物の賃貸借契約には、「住居用建物賃貸借契約」と「事業用建物賃貸借契約」の大きく2種類に分類されます。

「住居用建物賃貸借契約」における家賃と共益費(管理費)は、非課税です。

本来、消費税は全ての費用にかかるものですが、家賃などの住居費は、国民の生活において重要な要素とみなされ「基本的な最低限度の生活を保証する」という定義のもと、非課税とされています。

ただし、契約期間が1ヶ月未満の物件やウィークリーマンション、民泊など、旅館業に該当する物件に関しては消費税が課税されます。

そもそも非課税であることが特別であり、その中でなぜ住居費が非課税なのかは「基本的な最低限度の生活を保証する」という定義に照らすと理解しやすいと思います。

一方、「事業用建物賃貸借契約」の家賃・共益費(管理費)は、課税されます。契約者が法人・個人にかかわらず、事業を目的として賃貸借契約を締結する場合は、課税対象となります。

②【駐車場代・駐輪場代】

一般的に駐車場代・駐輪場代は課税対象になります。

ただし、次の3つの要件をすべて満たす場合に限り、非課税となります。

 ①入居者1戸あたり1台分以上の駐車スペースが確保されていること。

 ②入居者の自動車保有の有無にかかわらず全戸分に駐車場が割り当てられていること。

 ③入居者から部屋の家賃と駐車場代・駐輪場代を別々で受け取っていないこと。

③【水道代・電気代・ガス代】

 一定額を請求する場合も、各戸の使用実績で請求する場合も、課税対象になります。

 賃貸マンションに付帯された設備に関して、消費税が課税されるか否かは、国税庁ホームページの「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」で詳しく区分されています。集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定|国税庁 (nta.go.jp

賃貸人が必要な対応について

 「課税事業者」の場合であれば、まず、Tから始まるインボイス番号などを漏れなく記載した通知書を送付しておく必要があります。また、新規の契約時には、賃貸借契約書にインボイス番号等の必要項目を記載しておくことで省略できます。

 契約書等の作成を仲介会社にお任せされている場合は、当初のうちは、必要事項が正確に記載されているかの確認をおすすめします。

 ※通知書への記載内容の詳細はこちらで確認できます。

 「免税事業者」の場合は、特にすることはありませんが、テナントの退去や、新規募集などへの影響には注意が必要です。

 契約相手である法人やテナントの課税事業者は、制度実施後3年間は80%、そのあと更に3年間は50%の控除が可能になります。

合計6年間は一定割合が控除可能な軽減措置が取られますが、それ以降は軽減措置はなく家賃などにかかる消費税が100%負担となります。

 ここで懸念されるのが、既存の法人やテナント、新規募集にどれほどの影響があるかです。

賃貸人が「免税事業者」の場合、控除できない消費税の負担があることから既存の法人テナントから減額または退去の発生、また新規募集時の契約のハードルが上がるなどの影響が顕著に現れた場合には、「課税事業者」への変更が必要になることが考えられます。

まとめ

 今回は、賃貸借契約におけるインボイスの扱いについてお伝えしました。インボイスについてはこれまで【事例コラム】として計3回取り上げてきました。

それほどに今回の制度は複雑で、その取り組み方がはっきりと提示されていない状況にあります。

例えば、インボイス制度が導入された後、「免税事業者の場合は消費税を請求してはいけない」と勘違いされている方も多くいらっしゃるようですが、実際のインボイスの目的は、取引における正確な消費税額と消費税率を把握することにありますので、「免税事業者」であっても消費税を請求することに問題ありません。

 こうした制度の理解における混乱を避けるために、これまでお伝えしてきましたが、今回のインボイス制度を通じて、賃貸借契約に関する消費税の正確な表示を理解し、整理していただければと思います。

制度導入後も、取り扱い方法や表示方法が変更されることも予測されますので、その際にはこちらでもまた取り上げたいと思います。

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