部品調達困難がインターホンにも
半導体や電子部品の供給難で大きな影響を受けている設備として給水ポンプの問題を2022年12月号でお伝しました。それと同じことがインターホンシステムでも発生しています。
インターホンシステムは機器が廃盤になっているケースが多く、その深刻度は給水ポンプ以上だとも言われています。

建物玄関に「オートロック」が設置されている物件の大半は、アイホンまたはナショナル(現在はパナソニック)のインターホンシステムが使用されています。このシステムに何らかの不具合が生じると、大変な問題が発生する可能性があります。
入居者からこんな連絡がはいります。
「帰宅したがオートロックが開かず館内に入れません」
「1階エントランスと部屋との通話ができません」
「部屋からオートロックの解除ができません」
こうした入居者からの一報からすぐに、メーカー(アイホン、現パナソニック)に連絡、故障原因の調査と修理の手配をするわけですが、故障が発生するインターホンシステムの多くは、設置年数が経過し廃盤になってしまっている可能性がきわめて高くなります。
廃盤により部品の製造がストップしてしまったものは、部品調達ができずに修理ができないため、メーカーは現地訪問すらしてくれません。
廃盤で修理ができないとなると、インターホンシステムそのもののリニューアル工事の必要性がでてくるわけですが、ここに半導体や電子部品の供給難が影響してきています。
システムそのものの部品が供給難で調達できないことから、リニューアルしたくても現在、工事発注から納期まで数カ月必要な状況にあり、元通りに使用できるようになるには数カ月から半年以上かかることがあることに注意が必要です。

インターホン、オートロック故障が与える影響
インターホンやオートロックが使用できず、修理やリニューアルも行われない場合は、入居者の生活に重大な影響を与えることが考えられます。
例えば
・インターホンでの通話ができない為、入居者には携帯電話で代用してもらう不便
・部屋からオートロックの解錠ができない場合、来客のたび、エントランスに行く不便
・オートロックが機能しないため、常時開放による防犯面での心配
このような不便が長期的にわたって解決されない場合には、入居者は賃料に見合ったサービスを受けていないと感じる原因となり、賃料の減額交渉などのトラブルに繋がりかねません。
しかも、いつ復旧できるかの明示ができない状況では、入居者が何もなしで納得することは難しくなります。
さらに復旧が長引くことで、内覧に来る入居希望者が防犯上のリスクを知ることになり、入居を決めない可能性があるため、空室解消にも悪影響を与えかねません。

インターホンシステムの故障が、賃料減額交渉の引き金となる可能性や、空室解消に悪影響を及ぼすことも考えられ、不動産経営のリスクへと発展しやすくなっています。
こうしたリスクを回避するため。製造年度の古いインターホンシステムの早めのリニューアル検討から工事の発注が必要になっています。
メーカーからだされている推奨交換時期は15年です。
特に現在設置から15年以上が経過した物件については、今般のインターホンシステムの納期遅延状況をご理解いただき、積極的な設備の更新を検討ください。