フン被害の影響
鳩は、自分のフンがある場所が安全と考える習性があるため、その場所に居着き、巣をつくります。
フンの量がほかの鳥と比べて多いのも特徴で、鳩に居つかれたベランダにはあっという間にフンが堆積してしまいます。
しかもそのフンで「健康被害」を引き起こすというのですから厄介です。

鳩フンの健康被害
①アレルギーの原因になる
乾燥したフンが空気中に飛散し、その菌を吸い込んでしまいアレルギーを引き起こす可能性や、羽毛の中の菌で間質性肺炎を起こすことがあります。
②ウィルスを含有
鳩のフンにはサルモネラ菌やトキソプラズマといったウイルスが含まれていることがあり、感染症や肺炎を引き起こす可能性があることから、特に高齢者や小さな子供、基礎疾患がある人は注意が必要です。
健康被害のリスクを防ぐためにもベランダにフンがある場合にはきれいに掃除する必要がありますが、この掃除の仕方にも注意が必要です。
菌やウィルスを吸い込まないためにも、フンが飛散しないよう除去しなければなりません。
直接触れたり、吸い込んだりしないように、掃除の際は必ず、使い捨て手袋とマスクを使用し、掃き掃除はフンが飛散するのでしてはいけません。乾燥したフンやこびりついたフンはアルコール消毒液などで湿らせて、拭き掃除をするなど、とにかく飛散しないように注意して掃除をする必要があります。
鳩フンの経営被害
鳩害で被る「経営被害」には深刻なものが多く、決して看過していいものではありません。

①物件価値の低下を招く
鳩のフンは、強酸性のためベランダの手すりなどの鉄部に長時間フンが溜まり続けると、変色したり、時には腐食する場合があります。時にベランダ床面の防水層を傷めたり、コンクリートを傷めたりすることもあるほどです。
フンの放置で起こる劣化や腐食は、建物の資産価値を低下させることにもなります。
②退去原因となる
鳩害は、入居者クレームをいとも簡単に発生させます。
・騒音クレーム
鳩がベランダに居座ると早朝から泣き始めるので騒音の被害が発生。また飛び立つ時には羽音が響くことから、恐怖を感じるのでなんとかして欲しいとの要望も発生します。
・フン害クレーム
鳩のフンは悪臭を発生させ、夏場はさらにそれがひどくなります。そのフンを処理せず放置するとすぐに堆積し、今度は周囲にも悪臭が漂ってしまいます。
また害虫のエサになるため、ゴキブリなど、フンの放置が害虫発生原因にもなります。
そのほか、フンや羽で汚れるので、洗濯物をベランダで干せなくなるなどの日常生活に支障がでることや、フンが雨樋や排水溝の詰まりの原因となり、排水できずにベランダに汚水が溜まるなど、更に不衛生な生活環境を作り出すことも。
こうなるとベランダの掃除が必要になりますが、お伝えした通り感染に注意した掃除をしなければなりません。
もし鳩が飛来してこなければ、こんな不快な思いはせずに済み、余計な掃除も必要がないわけですから、入居者としては「なんとかしてほしい」と要望したくなるのは当然です。
こうした要望が聞き入れられず、生活に支障をきたしたまま、賃料を払い続けるくらいなら退去してしまおうと考える入居者が増えても不思議ではありません。鳩害で退去を生み出すことになります。
③空室解消の妨げとなる
たとえ空室に内覧者が案内されたとしても、ベランダの鳩害状況を見てしまうと、その部屋が決定の選択肢から外される可能性は極端に高まります。空室解消の大きな妨げとなります。
先に見た、鳩のフン害で起こる健康被害についてもよく知られた事実であり、部屋を貸す上で鳩害があること自体で敬遠される要素となるのでその対策は不可避です。
改善対策方法
鳩害対策では、鳩がベランダに居座られてからではもう遅く、その後からの対策ではいたちごっこにしかなりません。
まず、鳩を飛来させないための対策が必要になります。

代表的なものが次の4つの対策です。
①鳩よけネット
鳩を飛来させない対策としては効果的です。各室毎に設置する場合と、マンションのベランダ全体を覆う場合とがあります。
特に各室ごとに設置する場合に、素人の設置だとどうしてもゆるみや隙間が発生し、鳩が侵入してしまう場合が多いので、専門のプロに任せるべきですが、その分コストが発生します。
②剣山マット、鳩よけジェル
手すり下や、室外機上などの平面で鳩が休憩するスペースを作らないために使用します。低コストで設置可能ですが、鳩に慣れられてしまうと、剣山マットのないところで休憩されたり、フンでジェルが固まってしまい効果がなくなることがあります。
③ワイヤー・テグス
鳩がよく止まる手すりにワイヤーやテグスを設置して止めれないように対策します。鳩よけネット同様に素人の設置だとゆるみや、ずれなどが発生しやすく、専門業者に依頼するのがおススメです。
④CD・目玉模様の忌避対策
鳩に限らず鳥は、キラキラ光るものを嫌がります。外敵とみなされる目玉模様には一時的な忌避効果があります。しかしこれらは、鳩が慣れてしまうと効果が薄れ、意味のないモノになるケースが少なくありません。
今回お伝えしました鳩害は、マンションの美観の問題だけではなく、「健康被害」を発生させ、さらには「経営被害」へと発展することが容易に想像できると思います。
鳩害を放置することは、不動産経営への悪影響を放置することになるとご理解いただき、早期に対処されることをおススメします。
