夏場のエアコン故障の対応
例年、夏時期に多発するエアコンの修理や取替え工事の依頼。
こうした修理や工事が重なり、対応業者がパンク状態となり、修理や取替えに2週間以上かかるなんてことがあります。
夏本番前に「試運転」で異常が判れば、余裕を持った修理、取替えの段取りを進めることが可能になります。
6つの試運転方法
実際、当社でも7月~9月にエアコンの修理、交換依頼が重なります。できる限り早期対応できるよう努力はしていますが、やはり一定期間修理や交換を待たざるを得ない状態になることがあります。猛暑が続く中でエアコンが使えないということは、我慢のレベルではなく、生死に関わるレベルであり、もはや修理交換が手配できるまで我慢して待ってもらうことができる問題ではありません。
こうした事態を避けるため、今回の試運転の日では、夏の本格使用時期の前に、エアコンが正常に動くか確認するための6つの作業を推奨しています。ご自宅のエアコンにもあてはまりますので、是非一度試運転をしてみてください。
①電源プラグに異常がないかの確認
電源が天井付近にあるので、あまり見ることはありませんが、年に2回は汚れやほこりの付着がないかの確認はしてほしい内容です。ほこりが溜まりすぎていると火災の原因にもなります。
②リモコンの液晶の確認
エアコン本体の故障でなく、リモコンの電池切れ、リモコンの故障というケースがあります。リモコンの液晶がきれいに点いているかの確認です。不良があれば電池の交換、リモコンの故障であればメーカ-へのリモコンの取り寄せ、マルチリモコンの購入で対応します。
③フィルターの確認
フィルターの埃を取り除く。破れなどがないかの確認です。フィルター清掃は日常のメンテナンスの基本ですが、フィルター清掃だけでは、室内機の汚れは取れません。エアコンの臭いがきつくなったり、効きが悪くなったり、電気代が高額になってしまう前に、「分解洗浄・クリーニング」をお勧めします。
④室外機の周辺の確認
室外機の前に物を置いてしまうと、室外機本体の故障の原因になります。またしつがあいき周りが汚いとドレンホースに埃が詰まりやすく、室内機から漏水するケースが発生しやすくなります。
⑤実際に動かし、冷えるかの確認
冷房設定温度を16~18℃で10分程度運転し、実際に冷えるかの確認です。電源は点いても、冷えない場合があるので、実際に動かしてみることが勧められています。
⑥異音、異臭がないかの確認
室内機から水漏れ、異音、異臭がないか、室外機からも異音、異臭がないかの確認です。コンプレッサー異常が起きていたり、電源を付けても「ぴっ」という音が鳴らなかったりすることもあります。基盤が悪いと、修理不可の場合があるので正常に運転しているかの確認です。

フィルター清掃とエアコンクリーニング
6つの試運転方法の中の特に③に関して、当社ではエアコンクリーニングを推奨しています。
フィルター清掃のみでは、内基にほこりやカビが残っているため、そのままにエアコンを動かすと負荷がかかり故障の原因になります。
ファミリー物件の多くはエアコンは入居者が設置する設備のため、クリーニング等のメンテナンスも入居者自身で行う必要があります。特に、シーズンオフ時はクリーニング業者も受注件数が少ないため割安で施工してくれることから、当社から入居者へのエアコンのクリーニング格安での施工の案内をしています。
特に対策が必要なのは単身用マンションの方です。単身マンションの多くでは、エアコンは、部屋の設備として設置しているので、修理、交換となると所有者の負担となります。
エアコンを長持ちさせるために入居前のクリーニング施工や、入居者サービスの一環として長年入居されている方を対象にオーナーさまの負担でクリーニングを実施されている物件では、やはりエアコンが長持ちしています。
設備の保全としてのクリーニングの実施は、修理交換のタイミングを遅らせ、機会を減らすことになるので、積極的な実施をお勧めしています。

遅延が続く住宅設備
現状のエアコンの修理、交換の遅延に更に影響を与えているのが、新型コロナウイルスです。
中国のロックダウンで、工場が停止、部品の供給がされず、各メーカーよりエアコンのみならず、様々な設備で納期遅延が通知されています。 去年の秋頃から発生している給湯器設備の遅延も、種類によってはまだ入荷待ちの商品があります。IHコンロやウォシュレットなども同様です。代替品を取り付けたり、空室の設備と入れ替えたりと施工業者の協力のもと臨機応変に対応する必要があります。
特に夏場に影響の大きいエアコンも、既に部品や本体が入荷時期未定のものが発生し、現在も1ヶ月以上前の注文にも遅延があり、手に入りにくくなっています。
夏場にエアコンが故障し、使えない状態のままであった場合、熱中症など生死にかかわる事態となるため、部屋の移動やホテルの使用などの対応が発生し、ホテル代の請求や家賃減額請求も想定されます。

現在は、貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドラインが定められているので、「当然に減額される」という考えのもと、入居者からの請求は、当然事と考える必要があります。
こうした事態の予防として、現場の空室に設置されている年数、型式が古いエアコンに対しては、できる限り取替えしておくことも対策の一つです。
先行投資とはなりますが、その後の修理、交換の費用、入居者の不満、家賃減額の申請、補償コストなどを含め考えると、早めの決断が効果的ではないかと思います。