どうにかしたい。ゴミ処分費の無駄なコスト
貯水槽横のデッドスペースに放置される粗大ごみ。オーナーさまに聞くと当社管理受託前から慢性的に発生し、その撤去処分費用に毎回5万円、年2回でおよそ10万円のコストをかけているとのこと。これは必要経費だと諦め半分の判断をされていましたが、何か対策できるなら考えて欲しいと依頼をいただきました。
まず現地確認したそのスペースは車の出入りが自由にでき、通りからは死角となり、夜間であれば誰にも見られずに車で乗りつけゴミを捨てられるという、これ以上ないほどの絶好の捨て場です。

2つの是正対策
このようなゴミの不法投棄是正対策には2つの対策があります。
1、物理的に捨てさせない対策
2、心理的に捨てさせない対策
まず1、物理的に捨てさせない対策とは、捨てるスペースそのものを無くしてしまう対策になります。入り口付近にバリケードを設置して侵入できないようにすることや、枠で囲ってしまいそもそも捨てるスペースを無くすという対策になります。
もう一つの2、心理的な対策は、抑止力を利用します。防犯カメラの設置案がその代表です。カメラを設置して捨てた犯人を見つけ出すというより、監視されているので「捨てたらまずい」と思わせる対策になります。

2つの対策案の内容を検討
まず、スペースを塞ぐためのフェンスの造作やアクリル枠の設置、その他の対策として、車が乗り入れを阻止するためのポールの設置の検討です。
ただ、当物件の不法投棄されるデットスペースは思いの外広く、設置するには広範囲な分、費用がかかることが予測されるので、もう一つの対策である防犯カメラ設置案も同時に検討に入りました。正面入り口と裏口両方から侵入経路があり、そこからデッドスペースに粗大ゴミが捨てにくることが想定できるので、2台の防犯カメラを両入り口に設置する対策です。抑止力の発揮が目的なので「防犯カメラ監視中」との表示を目立つ場所に貼りだすことも計画案に入れます。
2つ対策案の費用比較と投資効果
スペースを塞ぐ案は、やはり広さがある分、費用がかさみます。
両入口のポール設置でおよそ30万円、スペースを囲い門扉の設置で50万円程度必要になるとの試算です。
一方、防犯カメラの設置では、
・屋外用防水パレット型カメラ 2台
・4chデジタルビデオレコーダー
・液晶モニター
・防水キャビネット
・工事費
でおよそ17万円との試算がでました。
2つの対策案の投資効果を求めてみます。
粗大ごみ回収コストが必要でなくなることが前提で、ポール設置で3年、囲い枠設置で5年、防犯カメラで2年弱で投資額をペイできる計算になります。
特に防犯カメラ設備には本来の効果として、入居者の安心安全の提供があり物件価値の向上も期待できます。
事実、毎年発表される賃貸住宅新聞の人気設備ランキングで防犯カメラ設備は、2020年は単身タイプで11位、ファミリータイプ8位にランクインしています。ファミリータイプでは2019年の13位からTOP10入りするなど人気は高まり続けています。
コスト面だけでなく物件の付加価値アップというプラス面からオーナーさまは、防犯カメラ設置案を採用決定。他案は防犯カメラで効果がでなかった場合に検討することとしました。

防犯カメラ設置の効果
防犯カメラ設置工事完了後、物件巡回を繰り返し、粗大ゴミが捨てられていないかをチェックした結果、あれほど多かった粗大ゴミが、設置後に捨てられていると確認されたことは一度もない状態です。
粗大ごみの回収が必要でなくなることで、防犯カメラ設備投資を2年かからずペイすることができ、その後は毎年のコスト約10万円が単純に経費削減の効果を生むことになりました。
オーナーさまも長年悩まされていた粗大ごみの放置がなくなり、撤去費用のコストも削減ができたことで大変満足されています。
まとめ
今事例のようにすべての物件で同じ効果が望めるとは言えませんが、防犯カメラによる粗大ごみ放置の抑止効果は十分あると思いますし、安心安全の提供という面からも価値があるように思います。しかし、粗大ゴミ放置の改善策として考えるならば、防犯カメラ一択で偏るのではなく、現場の状況、地域などの市場性から対策を判断することが重要です。粗大ゴミ放置でお困りであれば是非参考にしてください。