テナントの入居が決まらない。
テナントビルを新たに購入されたオーナーさまからのご相談。
現管理会社にテナントの入居付けをお願いしてはいるものの、申込の気配もなければ、報告すらないので、案内されているのかどうかもわからない状態が続いており、運用がうまくいっていないというお悩みの相談です。
この相談時点での募集状況を確認したところ、ネット上での情報を見る限りでは、募集告知がうまく機能してるとは言えない状態です。
当社の仲介営業店ネットワークの内、テナント専門会社に確認するも、空室があることすら知らない業者もあるなど、主にテナントを扱う仲介業者の間での認知が低い状況であることが明らかです。
なにをおいても、まず空室の存在を周知させる必要性があるので、その対策の検討からスタートです。

仲介営業マン向けの内覧会開催の立案
空室情報の周知の方法はいろいろあります。
一番オーソドックスなのが、仲介店舗を直接訪問し、募集資料を元に周知を図る方法です。仲介営業マンとの対話から関係性を構築することで、案内の優先順位を上げてもらったり、周辺物件の変化をリサーチでき、条件の調整を図ることができることからも、当社のリーシングで最も重要視する活動になります。
ただ、この活動の難点は時間が必要だということです。一度や二度訪問したところで仲介営業マンとの良い関係性がつくれるわけではありません。時には数年かけて関係性を深めることが必要な場合もあるほどです。
各仲介会社に訪問、契約条件を理解してもらうだけでなく、案内に動いてもらうための交渉に時間をかけて、地道に活動を行えば成約に繋がるとは思いますが、今回のオーナーさまからの相談内容の第一は、空室期間の短縮であり、求められているのは、地道で長期に亘る戦術ではなく、即効性のある短期戦術です。
短期間でより多くの仲介営業マンに周知、理解してもらう必要があります、一堂に集まってもらい、室内を見てもらいながら、室内の利点を伝え、交渉枠等の踏み込んだ内容をお伝えすることができる「内覧会」の開催が最も効果的だと判断しました。

内覧会の目標設定方法
内覧会の企画で重要なのが、参加者を何名に目標設定するかということ。
成約数は「案内数×成約率」でヒモ解けます。
まず成約を勝ち取るための案内数が何件必要なのかを考えます。
当物件は認知度が低くく、成約率は高くないので低めの10%と設定した場合、ひとつの成約獲得の為には、案内数は10件以上必要になる試算です。
その為、少なくとも40~50名の営業マンに物件状況を詳しく知ってもらう必要があると考え、内覧会の参加者目標を50名に設定しました。
50名もの営業マンに1日で物件に来てもらうためには内覧会の告知が要になります。
これには当社のネットワーク網だけではなく、パートナー企業であるオフィス専門のエージェント企業への協力要請を出し、広く内覧会の周知活動を徹底しました。
また、その告知の際に、設定表示賃料から交渉できる賃料枠を内覧会参加者に現地で発表する旨も合わせて周知させ、参加のメリットを明確に打ち出すこととしました。

内覧会の成果
この限定一日の内覧会に参加してもらったのは、32社の仲介会社で総数56名と言う結果。目標達成です。
内覧会当日は、室内写真を数多く撮ってもらうだけでなく、室内を見た印象、賃料相場と設定賃料のバランス、競合物件の動向などを聞き出すためのアンケートを実施しました。
アンケートの結果から3つの確認を実施。
1.家賃相場の再確認をすることができ、設定家賃の妥当性を確認。
2.室内の印象から、アピールポイント、メリットの確認と再打ち出し
3.当物件の適正業種の確認
賃料設定の最終調整だけでなく、仲介営業マンの客観的な評価から 物件のアピール内容等を訂正、募集全般の見直しを行うことで更に勝てる物件へと変化させます。
内覧会開催から募集内容の変更を経て、正式な募集後60日で半導体等を輸出入する貿易会社での成約という成果が表れました。
まとめ:部屋付けの基本
今回の事例は、時間短縮を優先することから、特に仲介営業マン向けの内覧会開催の短期戦術の手段と成果をおつたえしました。
しかし、当社で取り組む部屋付けは、あくまで仲介営業マンとの関係づくりを重視、ネットワークを広げ続ける長期戦術が基本となります。
長期戦術なくして短期戦術を駆使したとしても効果は期待できないことは明らかです。
当社では、基本を大事に、継続した取り組みができるかどうかが部屋付けの要になると考えています。