事故の発生~初期対応
2020年1月に発生した暴風で、一棟マンションの屋根の「笠木」が飛ばされ落下する事故が発生。現場に急行したところ、幸いにも落下した「笠木」によるケガ人、近接建物への被害もない状態だと確認ができました。
ここでまずすべきは応急処置を含めた初期対応です。
今回の事故で考えられる初期対応は二つです。
まず、
①落ちた笠木をそのまま放置することで起こる二次被害のリスクを無くす。
②笠木が外れた屋根から雨などの浸水被害が予測できるのでその処置。
応急処置としてまず笠木を移動させ誰にも触れられない様にする保管処置を実施。それからサポート修繕業者手配の上、屋根の状況確認と雨漏れ等の対応としてのシートでの応急保全処置を行いました。

業者手配、保険対応
次に修繕業者への手配から、笠木撤去処分と笠木新設施工等含め現地立会いのもと見積りの依頼と同時に所有者加入の火災保険の確認です。
具体的には、火災保険適用の観点から保険加入内容を確認します。今回の事故では「風災被害」での適用可能性が高いと判断できるので、オーナーさまに管理会社である当社からの代行報告の承諾を得て、当社から保険会社への事故報告と手続き上の段取り確認を即日で行いました。
とにかくスピード対応が必要な事案であると判断していたので、できる限り手をこまねく時間を少なくすることと、即日で当社から出せる依頼はすべて出し切っておくことがスピード重視の事案には不可欠です。
保険申請代行
保険会社とのやり取りは、管理者の立場である当社が保険請求代行者となり対応が可能です。オーナーさまから正式に保険会社への報告申請代行の依頼を受けたので、写真手配、報告書の取りまとめを行います。
保険会社から鑑定人が派遣され現地確認することも想定されたので、対応可能日時を事前提示をしておくことで、時間のロスを極力無くすよう手配します。
これは、応急処置はしているとは言うものの、長期間放置すると雨等での浸水の危険性があるための時間短縮の対策です。
結局今回のケースでは、保険会社から鑑定人の現地立会は不要との判断がでたので、提出写真のみでの被害確認で済み、施工工事完了後すぐに保険金着金の段取りとなりました。
二次被害の抑制の為、業者手配を早期で行い修繕を完了させたこと。それと同時に複雑になりがちな保険の手続きを当社が代行することで、保険の早期認定を可能にしました。
オーナーさまの工事費用の負担がないだけでなく、キャッシュの一時的な支出もない状況での解決となりました。

保険の適切な加入と活用
オーナーさまはこうした日常的に起こる強風の被害が火災保険で対応できることに驚かれ、しかも、複雑な事故処理を事故報告から申請、処理まで全て代行してもらえて助かったとの言葉をいただきました。
今回の事故では幸いケガ人等はでませんでしたが、万が一物件からの落下物で人に被害が出る場合も想定されると思われたオーナーさまは、その後、そうしたリスク回避ができる「施設賠償の保険特約」を追加加入されています。
今回の事故を通して、適切な保険に加入することは賃貸経営面で大きな安心を得ることになること。それから、いざ事故が発生した場合の問題解決は、復旧での事態収拾という面だけでなく、オーナーさまに代わり保険の請求を適切に実施することで極力キャッシュの支出をさせないことが管理会社の大事な役割であることを再認識することとなりました。