漏水原因がよくわからない…
当社で管理をスタートさせていただく前から問題になっていた雨漏れ。梅雨時期や台風、豪雨の度に漏水が発生、その都度費用をかけて改修をおこなうものの一向に漏水は収まらず、毎度一階のテナントの学習塾には床が水浸しになるほどの被害が発生していました。
この雨漏れにより、一階学習塾の営業できない状態が慢性的に続いていたようです。前管理会社からの引き継ぎ時に雨漏れがあることは聞いてはいたものの、テナントの学習塾側から賃料の減額交渉、営業保証の要求に収まらず、退去解約の話にまで発展していることまでは聞かされていませんでした。
特に当物件の1階テナントの契約は、収益上の賃料割合が高く、退去されると収益の急激な悪化は免れない状態です。
契約を維持させるためにも早急かつ根本的な解決が必要であると判断できます。

漏水箇所の特定からスタート
漏水の対応で難しいのは漏水箇所の特定です。水は低い所に流れるので、漏れが表れている箇所と漏水の発生箇所は違うことが少なくありません。
問題解決には、まず繰り返し起こる漏水を止める事を優先すべきなので、発生箇所の特定を急ぎます。
まず、ひととおり建物のチェックを行ってみたものの、案の定、目立った劣化場所は見当たりません。こうなると、文字通り「しらみつぶし」であらゆる漏水の可能性を潰していく必要があります。管理会社の経験値が必要な対応が求められる場面です。

外壁への散水テストの提案
起こりうる漏水をすべて想定する必要があるので、管理会社としてのこれまでの経験値と水道関連の業者、外壁補修業者の専門的な視点を併せ漏水箇所を特定する作業が必要になります。
時間をかけず、漏水の根本原因の特定するには「散水テスト」を行うのが有効だという結論に至ります。建物の壁面全体に段階的に散水し、漏水が再現するかどうかのチェックです。うまく漏水が発生すれば、その箇所から遡り原因が特定できるというわけです。
この「散水テスト」にも費用はかかりますが、根本原因を突き詰めことができるのならとオーナーさまにも同意していただき実行に移りました。
この「散水テスト」で漏水が2か所再現されました。この2箇所を遡ることでエアコンのダクト部分からの浸水が確認、さらに、目視では確認できない死角となった箇所に深いクラックがあり、そこからの浸水も確認ができたことから、この浸水箇所2箇所の補修で漏水がストップする可能性が高まります。
漏水原因がわかれば、施工はごく単純なコーキング処理での止水が可能なので、即時施工を完了し、漏水の再発がないことまで確認ができました。

テナントとの話し合い
苦しめられていた漏水の原因が解明できたことは良かったのですが、漏水を止めたら解決というわけにはいきません。ここからが本番です。
長年にわたり営業ができない期間の発生から、賃料減額、営業保証金の要求、退去の意思まである一階学習塾のテナントとの話し合いが必要になります。
オーナーさまからは、長年迷惑をかけたという気持ちから賃料の減額の必要性を感じられていたので、賃料減額の意向があることをお伝えすることからスタートしました。
テナントの責任者の方からは、これまでの対応への不満はお伝えいただきながらも、オーナー側からの賃料減額の提示と、管理変更後すぐ対応し、これまで解決に導いてきた当社の行動を認めていただけたことで、賃貸借契約の継続の意向と、営業保証金の要求はひっこめていただく結果となりました。
まとめ
なんともあっけない結末のように思われるかもしれませんが、今までの不備への謝罪を含め、きちんと連絡をし、対応、説明を尽くすことで理解をいただくことができたのだと思います。
これが逃げ腰であったり、説明に嘘が見え隠れし対応にごまかしがあると、被害にあったテナント側には更に不信感が増大し、こうした結果には至らなかったのではないかと思います。
こうした被害で入居者やテナントに不便が発生した時、オーナーさまも含め、当社のような管理会社が逃げ腰にならず、ごまかさず、きちんと対応する意思と姿勢を示すことが問題解決には、なによりも大事なことになります。