フロアタイルの汚れレベルを判断する。
退去立会が終われば、次の入居者募集のための室内準備に入ります。募集に必要な準備のひとつにリフォームがあります。
当物件は洋室にフロアタイルを使用しています。
フロアタイルは、クッションフロア(CF)に比べコストはかかるけれども、傷つきにくく多少の汚れならクリーニングやリペアで繰り返し利用できるので、賃貸物件にもってこいの資材といえます。
しかし、繰り返し利用できるといってもやはり限界があります。全体的な、くたびれや汚れは落としきれないので、数回転した後は張替えを選ぶ方が結果的に損をしない選択になるケースがあります。
当物件も、当初のフロアタイル導入から8年が経過、3名の入居者が入替わった状態で、全体的な薄汚れ、多少凹みや傷も見られるので、張替えが必要だと判断できるぐらいのレベルです。

張替え以外のアイデアを考える
現場を見たリフォーム施工業者からは予想通り、張替えの見積りが上がります。
もちろん見積もり内容は理解できるのですが、張替えを次の入居者分、つまりはもう一回転使えるならばオーナーさまの収益アップが図れるので、なにか対策はないか思案をしてみます。
フロアタイル全体の薄汚れは、小汚くみえるためまずこの全体の薄汚れが落としきれなければ張り替えも致し方ないと判断できます。
フロアタイルの素材からメラミン等のスポンジでこまめに擦ると汚れが落ちることが明らかにわかります。しかしこの室内全体の汚れを一室まるまる手作業でこすり落とすコストは、張替えコストよりも高くなることは容易に想像がつきます。
そこで、目をつけたので共用エントランスや共用廊下の清掃で使われているポリッシャー。ポリッシャーを使い、全体の薄汚れが落ちれば時間も労力もかけずに経費削減になるとの考えです。

ポリッシャー洗浄という選択
考えれば、ポリッシャーを使った洗浄を住居内で取り入れるのは珍しいことですが、店舗や事務所内の清掃では通常行われること。住居室内のフロアタイルに応用してみることはそれほど特異な考えではありません、
もちろん汚れがきちんと落ちるかどうかはやってみないとわかりません。ただ成功すれば大幅な経費downになることは間違いありません。
オーナーさまには、汚れが落ちない場合やムラになり汚く見える可能性があり、リスクとしてポリッシャー洗浄の費用が無駄になることをを含めて提案を行います。
オーナーさまは、「可能性があるならダメ元でやってみよう」と実行の決断をされました。
当社で取引中の清掃会社と打合せを行い、小型ポリッシャーで床清掃を依頼。実施してみると想定以上に汚れが落ち、洗浄後のフロアタイルで新規の入退去をもう一回転、さらに二回転も可能な状態にまで回復に成功。
今回のケースでは、ポリッシャー洗浄18,000円で施工。これがフロアタイルの張替えの場合、4,400/㎡×20㎡=88,000円となりますので、70,000円の経費downが実現しました。
リフォーム会社目線を理解し変換する
リフォーム会社は、当然ながら利益を考えるので提案した工事全てを受注したいと考えます。かたやオーナーさまは出来る限り無駄なコストを省き発注したいという考えなので、ベクトルの違いから話がかみ合わず、うまくまとまらないことがあります。
当社のような管理会社が、オーナーさまの代弁者としてリフォーム会社と折衝を行い、意向を伝える役割を担うのはこのためです。今回の事例であれば、汚れがひどくなれば「張替え」というリフォーム会社目線を、汚れを取り、磨き「復活させる」というオーナー目線へ変換させることで経費削減が可能になりました。
オーナーさまの「収益の最大化」を考え提案する当社の役割から生まれた成果だと思います。

異業種ノウハウも活用する
収益を大化のためには、経費削減は絶対条件です。賃貸経営にはさまざまな経費が発生しますが、原状回復リフォームは繰り返し発生する経費のひとつなので、削減ができればその効果は大きくなります。
ただ、経費削減が必要だからと、減額ばかりに目が行き、リフォーム会社を相手に無理な金額交渉をしてしまうと「安かろう悪かろう」工事となり、クオリティが落ちてしまった結果、入居者確保に悪影響を及ぼしてしまうことに注意が必要です。
単価や金額交渉だけが経費削減ではなく、今回のように室内リフォームはそれを専門とする業者に依頼するものと考えがちなところを、異業種である清掃会社に洗浄を依頼し削減するといった転換は非常に有用だと思います。
しかし、これをオーナーさまおひとりで考え、実行するということは簡単ではありません。収益の最大化のために、経費削減を一緒に考えることができる管理会社が、今求められています。当社はそんな会社でありたいと考えています。