荒れたゴミ置場の問題
カラスや猫がゴミを漁って散乱、ゴミ出し日には近隣住民の方からクレームの連絡が入り、その度に整理と清掃に動いているのでなんとかしたいとオーナーさま。同じマンションの入居者からもクレームが相次ぎ、このままでは退去者が出てしまい入居維持もままならないとの相談でした。
管理受託前に問題解決の道筋を示す必要があるため現地に赴き、ゴミ置場の確認です。
ゴミ置き場の状況把握
当物件のゴミ置場は、コンクリートブロックを積み上げただけの簡易なものであるため、カラスや猫がゴミを荒らさないようゴミにネットを設置して対策はされています。
ネットをしていれば、荒らされることないようにも思い、ちょうど出てきた入居者にお話を聞くとゴミの散らかりの原因は他にありました。

入居者のゴミ捨てマナー
ゴミを荒らす犯人は確かにカラスや猫で間違いないようですが、その原因を作っていたのは、人でした。
ネットを待ち上げてゴミを捨てるのが面倒なのか、ネットを触るのが嫌なのか、一部の入居者がそのネットの上からゴミを捨ててしまうため、ネットの意味がなく、ネット上のゴミをカラスや猫が散らかし放題。
そのたびに近隣住民の方に迷惑がかかり、きちんと捨てている入居者からクレームが止まらない状態が続いているということでした。
二つの課題解決対策
カラスや猫より難しいのが人の扱いです。
人によるゴミ問題解決の為には、次の二つの課題への対策が必要になります。
①ゴミ置場の課題対策
②入居者マナーの課題対策
ひとつめのゴミ置場の課題の対策が必要なのは、ネットを持ち上げると手が汚れることに嫌悪感がある入居者に対して、ゴミの出し方だけを注意、指導したとしても改善にはならないからです。
手が汚れるのが嫌、面倒くさいと思ってしまうゴミ置場ならば、汚れず面倒でない捨て方が出来るよう改善が必要です。
ゴミボックスの設置の検討
手を汚さず開け閉めが楽に行える環境を整えるためのゴミボックス設置の検討です。
通常のゴミ庫は、安くても10万円程度のコストが必要ですが今回は、コストを極力かけない対策での検討です。というのも今回の目的は立派なゴミ庫にすることでなく、入居者がゴミをきちんと捨てやすくすることにあるので、折り畳みフェンス式のゴミボックスの設置22,000円での実行となりました。

設置後の対応、二つ目の対策
ゴミボックスを新設しても、すぐに入居者の捨て方が改善されることはありません。捨て方の注意、指導は根気よく伝えることが改善の近道になります。二つ目の対策、入居者マナーの課題対策です。
ゴミボックス設置後もゴミボックスとコンクリートブロックの隙間にゴミが捨てられるなど変わらずルール無視は続きます。
根気強く通知し続けることや、外国人入居者に対する文面を母国語に翻訳して通知するなど、工夫し伝え続けた結果、短い期間でゴミのルールは入居者に浸透させることができました。汚いのが当たり前だったゴミ置場周辺が、キレイに維持されるようになると、汚すことに躊躇する気持ちが芽生えてくるものです。これもルール浸透に欠かせないポイントになります。

入居率への悪影響
荒れたゴミ置場を放置することは、入居者満足度を下げ長期入居を阻害する要因になるだけでなく、空室募集に悪影響を及ぼします。荒れたゴミ置場を見て「ここに住みたい」と思う人はいません。入居率の悪化を引き起こすので早急な対処が必要になります。
入居率に課題がある時、募集設定の見直しに目が行きがちですが、その前に物件の状態を見直しすることで課題がクリアになる場合があります。特にゴミ置場が物件の顔である玄関エントランスに近い場合、ゴミ置場の状態が入居率へ与える影響は小さくないように思います。一度、ゴミ置場のチェック、改善を検討してみてもよいかもしれません。