エアコンの不具合の連絡受電
当物件、1階カラオケ喫茶から、エアコンの壁付リモコンの液晶表示が見えにくくなっていること、そのせいか、暖房の効きも悪いようなので対処してほしいとの連絡が入ります。
現地調査にてエアコンを確認したところ、天井埋め込みの業務用エアコン(以下天カセエアコン)が設置から20年以上経過。すでに機種が廃盤になっているため、リモコンだけの修理ができません。また経年により出力できるパワーも落ちていることから、明らかに設定温度の割に暖かくならない不具合もあるようです。
リモコンの液晶だけの問題ではなく、本体にも問題が発生しつつあり、今後どこかのタイミングで故障した場合、修理すべき部品の製造終了で調達できないケースが想定されます。

故障発生の想定
完全に故障するタイミングが夏場だと仮定した場合、エアコンが効かない状態でのテナントの営業継続はできませんので、早急な対応が迫られます。
故障の連絡が入れば、まず箇所によっては修理ができる可能性があるため、メーカーのメンテナンスサービスに動いてもらいます。
修理不可であれば、エアコンの交換段取りに動くとしても、夏場のエアコン設置業者の忙しさは尋常じゃないので、直ぐの対応ができず数週間待たされることを想定しておかなければなりません。
そうなると数週間も営業継続ができないことから、テナントサイドから賃料の減額、免除の申し出、それだけではなく営業していれば上がったはず売上分の営業補償の申出も考えられます。
ここまで想定すると、故障が発生してからの事後対応ではなく、故障の兆しが見えているこの時期に、見積もりをとり比較しつつ、事前の対処を検討することは有効だと判断できます。
交換の3つの選択肢
修理ができない場合、機器の交換の選択肢しかありません。
天カセエアコンの機器の交換の選択肢は、次の3つになります。
①同機種の天カセエアコン新品への交換
②ルームエアコンへの切り替え交換
③天カセエアコン中古品への交換
①は一番オーソドックスですが、コスト高になる対策です。
天カセエアコン新品への交換見積もりで、機器代・工事費含め50万円近い金額になります。
②ルームエアコンへ切替えも可能ですが、今回の室内面積に適応させる場合、大型の機器の設置が必要なため、機器単価がそれほど下がらないこと、切替えのためには設置工事が別途必要なことなど含めると、コスト削減にならないことが判明。
また、ルームエアコンに切替えることで、空気の循環が変わり、「冷えない、暖まらない」というクレームにつながる可能性もあります。
③中古品を扱うことができる設備業者への相談と見積を依頼。
その結果、およそ製造1年経過の中古品で、保証期間1年がつき工事費用含め、238,909円(税別)にて実行可能。新品の約2分の1の金額で交換ができることがわかりました。
交換時期の選択
今回のように完全に故障していないうちに事前対応する場合、いつ交換の手配をするのか悩みどころです。
不具合はあるものの、まだ機器としては使える状態なので、そのまま使ってもらい、故障してから交換という選択肢ももちろんありますが、入居テナントの満足度や故障時の対応スピード、その期間に発生する営業補償のリスクの観点から、オーナーさまは、不具合が出始めたこのタイミングで交換工事の対応をしておくことが得策だと判断されました。

中古エアコンの交換選択
3つの選択肢の比較検討をします。
②のルームエアコンへの交換は、金額面、クレームのリスクを考え、まず選択肢から外しました。①か③の選択になりますが、新品の交換と比べ、中古の交換のリスクとメリットの判断が必要になります。
判断するのは中古機器を提供する設置業者の信用度です。
新品の保証期間は2年、今回見積りの中古設備は1年使用で、設置業者の1年の保証がつきます。保証期間に1年の差がありますが、この保証期間よりも大事なのが、設置業者が信用できるかどうかの判断です。
今回依頼する設置業者の営業範囲と営業姿勢、今後、当社との取引上のメリット感から、不具合の多いであろう中古機器の提供は考えにくく、いざとなれば即対応してくれることが明らかであり信用ができると判断。新品の半分の費用で交換できる中古エアコンを選択し実行しました。
新品と中古のエアコンを比べると、明らかに新品を選ぶ方が安心感があります。中古はコスト抑えることができるというメリットはありますが「安物買いの銭失い」となるリスクがありますから、機器を提供する設置業者の信用度合いをきちんと図ることが重要です。
どちらの選択が正しいかは、それぞれ考え方によると思いますので正解はありませんが、時に中古の選択肢を持っておくことでコストの調整ができ、賃貸経営にプラスに働くことがあります。
そんな中古設備を選択する時の参考にしていただき、その選択に迷われることがあれば当社に相談ください。