長期空室の原因調査
当事務所ビルの最寄り駅は、南森町駅徒歩5分と決して悪くない立地…、というより、ここで打ち手なく空室が続くようなら大阪の経済は危機的状況に陥っていると考えなければならないぐらいの立地です。
長期空室の原因調査を実施すると、すぐにその原因がわかりました。
賃料設定が決して高いわけではなく、逆に安価すぎる感さえある中で空室が続く原因は、ただただ情報の周知不足、空室の募集営業活動がほとんどなされていないということだと判明します。この事務所ビルの募集条件はもちろん、空室があることすら知らない最寄りの仲介業者もいるほどでした。
真偽は確かではありませんが、この時の管理会社はオーナーさまに売却を勧め、売買での仲介手数料の取得を狙っていたのか、はたまた立地の良い物件を空室解消がむずかしいとして、あわよくば自社で買い取ることを画策していたのでは?とも映ります。
管理変更時の空室募集の対処法
オーナーさまには当社での管理提案、特に募集戦略にご納得いただき、管理会社変更を決断いただきます。
まず着手すべきは一刻も早い募集活動の開始段取りです。というのも管理会社の変更には、思いの外時間がかかります。
解約が完了するまでに必要な期間は平均すると3ヶ月の解約前予告期間があります。つまりは、解約受付から3ヶ月の間は、前管理会社の管轄であり、この間は当然空室募集は前管理会社の業務領域となります。
- ※予告期間の管理支払うことで即時解約が可能な場合はありますが、引継ぎ等が必要なので実質、即時解約ができない場合が多くなります。
これまで募集活動をしてこなかった前管理会社に今更、募集活動で結果を出すことを期待するのもおかしな話なので、前管理会社に対して、管理変更に伴うお願いと交渉を行う必要があります。
基本的な募集営業活動の不足を指摘し、予告期間3ヶ月を2ヶ月に短縮交渉、加えてその2ヶ月の間の空室募集を新管理会社である当社で実働できるようお願いし、承諾を取り付けます。

募集スタートからその成果
募集賃料を適正賃料に設定し直し、最寄り駅周辺の仲介営業店への周知営業はもちろん、大阪駅、梅田駅周辺の仲介営業店、事務所テナント専門の営業店への情報配信、周知を徹底することで、およそ90日で8室成約し満室状態に。
・年間672万円の収益がアップし、アップ率51.7%に成功します。
しかし、これまでまともな空室募集の営業活動をしてこなかったため、当たり前の営業活動を実施するだけで満室の成果を出すにいたりました。ただ満室にするだけであれば、当社でなくても可能であり、これだけで成果と呼ぶにはあまりにも短絡的で面白くありません。
成果と呼べる結果にこだわる、ここからがエスタス管財の本領発揮です。
4.更なる成果を目論む
当該物件の一階のメインといえるスペースに、当事務所ビルの契約テナントが時間単位で借りられる会議室スペースがありました。テナントが利用する際に利用料はとってはいるものの、利用しているのは限られたテナントで、しかも、年に数回だけという状況で、ほぼ収益化できていない状態でした。
このデッドスペースともいえる利用頻度の低い会議室の有効活用に着手します。
年に数度とはいうものの、利用されるテナントがいる限り会議室を無くすわけにはいきません。これまでのサービスが無くなることで、改悪になってしまうことを避ける必要があります。各契約テナントへのヒアリングを実施し、必ずしも会議室が1階にある必要がないことを確認し、会議室を2階の荷物置きスペースへ移設させるよう段取りを実施します。
2階スペースを整理し、会議室として利用できるようにリフォームを実施した後に移動。空いた1階会議室スペースを、テナント貸しできるよう、壁を取り除くリフォームで30坪のスペースに拡張、テナント誘致稼働を実施し成約。
・月額22万円(税込)の契約。年間276万円の売上アップに成功。
先の空室8室の成約による収益アップを加えると年間948万円の売上アップに成功したことになります。

収益アップの方程式
売上を上げ、経費を下げることに注力することで効率よく収益をあげることができます。収益アップの鉄則です。空室解消とデッドスペースの有効活用で売上を上げることに成功した当事務所ビルの経費では、受付業務の電子化を実施し受付コスト削減に着手。
・年間480万円の経費ダウンと大きな成果を得ることに成功しました。

当事務所ビルでは、売上アップと経費ダウンの両面の効果で、年間1428万円の収益を改善することができました。しかもこの収益は一過性のものではなく、毎年計上され続ける収益であるということが注目ポイントです。長期空室に悩まされ売却を勧められていた物件が、今では空室待ちの状態へと変わり、積極的に新たな設備投資ができるまでにキャッシュフローが改善、オーナーさまから劇的に変化したと喜んでいただいています。
この毎年計上され続ける収益アップの成果は、大きな設備投資をしたわけではなく、ただただ管理会社を変更しただけの結果であり、管理会社の当たり前の行動に、プラスのアイデアと実行力から生まれた結果であることが特筆すべき点だと思います。
まとめ
収益の最大化を目指すには、思いつきをアイデアにし、チャレンジする実行力が必要です。言い換えれば、そうした提案力や実行力が契約中の管理会社にあるかどうかで、収益が上がるかどうかが決まります。
しかしその前提には、当たり前のことに真摯に対応できる管理会社、担当者であることが必要です。オーナーの立場から同じ視点で考え、ベクトルを合わせようと努力できる会社、担当者であるかどうかです。
管理会社は無闇に変えるものではありませんが、管理会社を選ぶ基準や判別する基準は持っている必要があります。「長いお付き合いだから…」とのお考えやお気持ちも大事ですが、その基準のみで会社を選択している、または変えることができないと判断されているのであれば、経営の悪化を招く危険性が高くなります。それはこの事例のように管理会社の動き方ひとつで、収益が大きく変化するからです。
もはや賃貸市場も、戦略や対策せずに選ばれる時代ではなくなりました。収益のことを共に考え、成果にこだわり、きちんと実行してくれる管理会社であるかどうか、ここに選択の基準を持ち、管理会社を選ぶ必要があります。
そうした基準をクリアした管理会社をお探しであったり、そんな担当者の話しだけでも聞いてみたいと思われたなら、是非、エスタス管財にお声がけください。