電子契約とは?
従来の紙の契約書への署名・押印ではなく、PDFファイルなどの電子データにて賃貸借契約書を作成し「電子署名」を用います。
「電子署名」とは、その文章が正式なものであり、かつ改ざんされていないことを証明するもので、誰が、いつ、文章の内容に同意をしたかを明らかにするものになります。
電子署名法に基づき署名が行われていれば、電子署名による契約書も、これまでの契約書面と同様に本人の意思によるものとして法的効力をもちます。

電子契約が不可欠になる3つの理由
理由1:早く正確な契約書回収のため
管理会社が書面を印刷しておこなう従来の契約書のやり取りの場合、契約書を作成、回収し、オーナーさまの手元に届くまでを代理契約の一例で見ると「管理会社→仲介業者→入居者→仲介業者→管理会社→オーナーさま」の6工程あります。
郵送や来店で書面受け渡しによって対応することになりますが、首尾よく手続きが進んだとしても、6工程にそれぞれ処理のための時間、印刷や郵送などのコストが発生します。これに、どこかの工程で不備があった場合、差し戻しから、訂正、再度郵送と工程の繰り返しが発生します。不備なくうまく機能したとしても時間が必要な上に、不備があれば更にそれ以上の時間を要します。
これが電子化すれば、印刷や受け渡しの手間、書類の郵送の行き来がなくなり、紛失等の心配もなく、万が一、不備があってもデータのやり取りのみで済むので、余計な「手間」、書類を待つ「時間」がなくなり、早くて正確な契約書回収が可能になります。
理由2:電子化を希望する人の増加
コロナによって、非対面、脱ハンコ、WEB手続きでの対応が当たり前なものとなり、社会生活が大きく変わりました。
こうした当たり前の変化が「部屋探し」にも影響を与えています。
入居を決めた方が、契約手続きを行う際、入居審査、重要事項説明、契約書捺印までの書類等のやり取りなどのこれまでの面倒を避け、非対面・脱ハンコ・WEB手続きによる対応を当然のように求めてくる人が増加することが想定されています。
今後、こうした部屋探しをする消費者のニーズは高まり続けると捉える必要があり、ここに応えられないようでは、部屋付けにも影響がでてくる可能性があります。
理由3:仲介業への変化対応
理由2で記したように、電子手続きを求める人が増えてくれば、当然、案内や契約手続きを行う仲介業者もそれに対応する必要が生まれます。
入居契約者のニーズから、契約までの一般的な工程【空室募集→内覧→申込→入居者審査→決済金手続き→契約書締結】で、仲介業者が電子化及びデジタル化が進めているにも関わらず、それを引き受ける管理会社側が、紙の書面にこだわり、それに対応しないことは、仲介業者の業務の非効率化を招くこととなるので、仲介業者から所有マンションの案内を敬遠され、案内数に影響を与えることになることが想定されます。
管理会社が導入するにあたり必要な取り組み
1.高い技術力のあるシステムの選択
契約書類や電子署名の改ざんの防止が可能な、高セキュリティーの電子契約システムを選択する必要があります。
電子契約に対する懸念は、契約書の改ざん、それから情報漏洩などのリスクです。これを回避できるシステムを選択する必要があります。
2.仲介業者の使い易さ
部屋付け、入居手続きを行う仲介業者が使いやすいシステムである必要があります。操作性が簡便で、処理を滞りなく進める事ができなければ、「時間がかかる」「操作を覚えにくい」などで面倒だと判断されてしまえば、結局使われなくなります。
「便利で使い易い」そんなシステムを選択します。
3.オーナーさまの理解
従来は紙だったものが、電子化されることをオーナーさまの理解が必要です。
部屋探しをする消費者が求め、仲介業者や管理会社がそれに呼応し電子化を進めても、所有者であるオーナーさまが紙にこだわり電子化を拒否をしてしまうと前には進めません。
なぜ必要なのか?その理由は、上記の理由1、理由2で解説をしています。
まとめ
郵送やFAXが当たり前だった賃貸不動産業界も、ここ数年でDX化商品の参入企業が増え、様々なコンテンツが増えています。今回の「電子契約」化もその一つです。
しかし、だからといって過度にデジタル化を進める必要はなく、アナログの良さと比較しつつ、各業務におけるデジタル化のメリットとデメリットを見極め、必要な変化に的確に対応していくことが大事になります。
今回お伝えした、賃貸市場における契約の電子化については、ニーズ面からも対応必須な業務であると判断できます。DX化が進む世界を想像しつつ、どう変化していくのか見極め対応が必要だと思います。