果たして2DKは時代遅れなのか?
ファミリータイプで、新婚層や同棲カップルがターゲットの場合、ニーズが「広いリビング」にあるため、リフォーム会社からは、現状が2DKであれば1部屋を潰して1LDKに、3DKの場合は、2LDKに間取り変更を提案されることが主流になっています。
世帯数の減少から、部屋数へのこだわりも減っていることも要因の一つと言えますが、35㎡~45㎡程度の間取りであれば特に、洋室1部屋をベッドルームとし、LDKを広く取る間取りが提案される傾向にあります。
2DKや3DKという言葉の響きそのものが、古い間取りの印象を与えてしまい、若年層のカップルなどには特に人気がありません。

エスタスのリフォームはマーケティングから!
今回の部屋の間取りは、2DK(和室・洋室・DK)です。以前の空室募集は9年前になるので、現状、入居者ターゲットの設定、賃料帯の決定が必要になるので、まずは調査からスタートです。
特に2DKから1LDKに改装した場合の、ターゲット設定とその場合の賃料帯を調べておく必要があります。
地元の仲介業者にて情報収集を行った結果、意外にも、当物件では1LDKを好む新婚や同棲カップルがターゲットにはならず、子育て世帯や母子家庭、友人同士のシェアハウスの方がターゲットに適しているということが判明しました。
このターゲット層であれば、1LDKのように部屋数が少ない間取りより、2DKのように部屋数が多い間取りの方が好まれるという意見が圧倒的でした。特に当物件のように和室・洋室両方あり振り分けされている部屋は、子育て世帯や母子家庭、シェアハウスにはぴったりです。
間取り変更には1.5倍~2倍のコスト
実際に1LDKへの改装パターンの見積も取ってみたところ、畳を処分し、和室を洋室に変更、DKと洋室を繋げてLDKした場合、コストが原状回復工事の1.5倍~2倍発生することがわかりました。
しかも、1LDKにしたとしても、賃料を上げるまでには至らず、賃料を上げようと思うと更なる高額な設備投資が必要になることから、今回のリフォームは、調査で得たターゲットニーズに合わせ、2DKのままで間取り変更しない提案をし、オーナーさまにご理解いただきました。

リフォームのポイント
ポイント①設備入替は外せない
コストは抑えてとはいうものの、30年以上前の建築当初からの設備がそのまま、大きな修繕もしていない部屋でしたので、給湯器や洗面台の入替え施工は、次の入居者確保のためには必須項目となります。
原状回復工事のみにしても設備入替のコストは必要なので、その他、毎日使う浴室のドアや洗濯機水栓など、次の入居者が便利に使え、高額にならないものをセレクト。
ポイント②和室はあえて残す
子育て世帯では、子供をお昼寝させたり、遊ばせたりするのに和室は喜ばれる傾向にあることから和室はそのまま。洋室に変えるよりも畳の表替えの方が断然、安価になります。
【リフォーム内容】
*設備取替
給湯器・洗面台・キッチン(ガス設置可)・浴室ドア・モニターホン・洗濯機水栓の取替。
*内装
クロス全張替・フロアタイル施工・フローリング一部残す・和室を残し畳表替えのみ
特に設備はまとめて相見積を取り、当初の見積より約15%削減に成功。
マーケティングから内装中に成約
既に退去前から募集営業はスタート。
マーケティングに協力いただいた仲介店舗の営業マンに、情報提供のお礼と、事前にリフォーム内容を告知していたところ、内装の完了前に問合せが多数入り申込から成約に至りました。
子育て真っ最中の20代前半の若いご夫婦に生まれたばかりの赤ちゃんというファミリーからの申し込み。
実家に近くて、子供が産まれたので1つ部屋が多い新居を探していたということで、まさにリフォーム時に設定していたターゲット通りの、物件にピッタリなご家族で成約いただきました。
気になる家賃帯も、9年前の賃料から金額を下げることなく成約となりました。

まとめ
一般的には、2DKよりも1LDKの方が市場ニーズが高い事には間違いはありません。
しかし、このマンションの所在地域では、1LDKではなく2DKの方が部屋を探される層のウォンツ(欲求)に合致した有効な間取りと言えます。
もちろん1LDKに間取り変更したとしても空室の解消はできていたとは思いますが、収益性を考えた時、間取りを変更するコストをかけてもかけなくても売上が同じであれば、当然リフォーム金額は低く抑えるべきであると考えられます。
間違ってはいけないのは、2DKが良いとか1LDKだからダメだということではありません。今回のように市場調査をした結果、1LDKにウォンツ(欲求)があると判断した場合は、やはり1LDKへの間取り変更が有効であり、当社もそうした提案をする必要があります。大切なのは、その立地の市場性を把握して、その地域で部屋探しする方のウォンツ(欲求)がどこにあるかを掴み、それに合わせた部屋作りの提案ができるかどうかということだと思います。
エスタス管財は、ニーズだけに囚われない、マーケティング、市場調査の下で有効であろうリフォーム提案をこれからも心がけたいと思います。