慢性的に空室が続く物件
今回、無料インターネット導入したのが寝屋川市にある単身マンション。このマンションは、大学に近く「学生マンション」としての要素が強いので、一定数の入居は見込めるものの、それに同じく一定数の退去が定期にあり、慢性的に常時7~8室の空室がある状態が続いていました。
この状態をなんとか打開しようと、仲介業者へ商品券のプレゼント企画や入居者へは鍵交換費用や初回保証料無料、フリーレントもOKにするなど色々と試行錯誤を繰り返しましたが、空室率は変わらず満室にはほど遠く・・・。
このマンションの特徴を羅列してみます。
強み StrongPoint
① 1ルームだが室内に洗濯機置場がある。
② 1階にコインランドリーあり。
③ 4階建てだがエレベーターあり。
④ 大学から近い
5.駐輪場が広い
弱み WeakPoint
① 駅から遠い
② 1989年築とライバル物件と比べ古い

期待する導入の効果は「入居促進」
まずここで見るべき課題は、弱みWeakPoint1の「駅から遠い」問題。これがこの物件の最大のネックになります。
しかし、同じく駅からの距離がありながらも高い入居率を維持している物件があると聞いたので、早速、提携の仲介会社へ聞き込み調査を行ったところ、高い稼働率を維持する物件の特長が二つ見えてきました。
それが
1.広告料5ヶ月!←なんと!
2.無料インターネットの導入がされている。
ひとつ目の特長である広告料5ヶ月の設定ですが、こうした広告料の極端な増額は劇薬だと判断します。周辺と比べ、より高く設定することに一時的な効果はありますが、効果性が高いため一旦上げてしまうと下げることが難しくなります。更に周囲もそれに合わせてくると悪循環に陥ります。これに追随するのは得策だと言えません。
もうひとつの特徴であがったのが「無料インターネット」が導入されているということ。
駅から近い物件で「無料インターネット」を導入する物件が増えてはいるものの、当マンションの近隣、いわゆる駅から遠いマンションで導入している物件はまだ少ない状態にあるようです。
当マンションは特に学校近くに位置するため、ターゲット層に学生が入ります。コロナの影響でのリモート授業もそうですが、最近は学生の在宅時間が長く、YouTube・Netflix・Amazonプライムなど視聴時間が延びる傾向にあるので、ネット環境の充実は物件選びには必須条件となり、入居促進には効果が高いという声が多く聞こえ、検討の価値がありました。

ターゲットの新設定で勝てる確信
「無料インターネット」を導入するということは、新たにマンションへの設備投資をすることになるわけです。今までのように学生だけにターゲットを絞るのではなく、ネット環境がよくなることで、新たに訴求できるターゲットが他にもあるのでは?と仮説を立ててみることから始めます。
当マンションは駅から距離があるという強烈な弱みはあるものの、駐輪場が広いという強みもあります。電車を利用する層には駅からの距離はマイナスになりますが、移動手段が原付バイクや自転車の電車を利用しない層にとってはマイナスになりません。
移動手段が電車ではないこと、ネット環境が良くなること、もともと立地的に職人層の需要が少なくないことなどを加味し、新たなターゲットに「若い職人さん」を設定。
情報収集しみると反応は上々でした。
駐輪場に原付バイクを停められることを周知すること、「若い職人さん」の時間の使い方の特徴である休憩時間や自宅での携帯ゲームを「無料インターネット」で快適に楽しむことができることを徹底的に告知することで、新たなターゲット層を取り込むことが可能だと判断しオーナーさまへご提案。
2021年3月の繁忙期に向けて、年末にオーナーさまに決断いただき、3/1までに導入完工できるよう導入企業と施工会社と連携、新入学生、新社会人の入居者獲得に向けた営業活動を開始しました。
入居促進のその成果
2020年12月31~2021年3月31日までで退去数が3件、慢性的な空室の7件を合わせて10件のすべてが3月のシーズンで入居成約となりました。
ターゲットとした学生と社会人はそれぞれ5室づつの入居となり、狙い通りの結果が作れ、入居率100%となりました。
12月の段階でオーナーさまに決断いただいたおかげで、3月1日の契約から利用可能の告知ができ、仲介営業マンから「無料インターネット導入マンションとして強く営業しました」との声もいただくほど力をいれてもらい成果を出すことができました。

導入費用、費用対効果は?
気になる導入費用ですが、今回提案させていただいたのは、1Gシェアプラン。初期費用は無料、1戸あたり1,320円のプランとなり、おすすめできるプランです。
今回のマンションは、総戸数40戸弱なので、毎月のコストがおよそ5万円弱(税込)となります。
家賃が一室3万円強なので、今までのように慢性的な空室が8件あると考えると、無料インターネットの毎月5万円のコストで、およそ25万円の賃料売上を計上できた計算になります。
その他、無料インターネット設備を入れてからは、鍵交換代無料・初回保証料無料・洗濯機プレゼントなど今までやっていた数々のキャンペーンを中止していますので、このコストも減少させています。
導入の費用対効果は十分発揮できていると思います。実際、オーナーさまも導入して良かったと喜んでいただけています。
設備投資での管理会社の役割
「無料インターネット」設備は人気設備ランキング4年連続、堂々の第1位です。
更に現在、コロナ禍で在宅時間が増加していることから人気ぶりに拍車がかかっているようで、設備業者側の回線工事の予約が取れない状態だとも聞きます。
しかし、人気がある設備をただ導入していけば成果が上がるというわけではありません。
ご紹介したようにそのマンションの強みを再認識し、導入する新設備とその強みを掛け合わせ、ターゲットを再設定。その効果がどれほど期待できるか仮説を立てることが必要です。
その仮説から、検証、実行することで、成果を生み出したわけですが、こうした一連の行動をオーナーさまがおひとりで行うのは、難しいことだと思います。こうした改善を求めた新たな設備導入をする場合、当社のような管理会社に一度ご相談されることをお勧めします。