
省令とガイドラインの概要
今回交付された「建築基準法施行規則の一部を改正する省令」内容をまとめると次の3つになります。
① 設計時及び工事管理における防腐措置等の内容の明確化
②工事監理及び完了検査時における屋外階段の適切な照合・適合確認の確保
③適切な維持管理の確保
この3つのうち①の設計・工事、③の維持管理について「ガイドライン」が併せて策定されています。
①の「ガイドライン」では、新築物件の設計、建築に関して策定され、③の「ガイドライン」は既存物件の維持管理に関する内容になります。
この「ガイドライン」は、木造の屋外階段の防腐措置や支持方法について内容が明確化され、適切な維持管理に役立てることが目的です。
特に維持管理・点検の方法では、所有者・管理者等による適切な維持管理と、専門家による定期的、日常的な点検を受けるべきだと細かく規定されています。
(所有者・管理者等による日常的な点検) ※ガイドラインより抜粋
1, 建築物の所有者、管理者等が日常的に屋外階段の階段部材にひび割れ、錆又は腐食、府朽、損傷、虫害、防水層の損傷等の劣化現象及び水分の滞留、水漏れ等が生じていないかを目視により確認し、必要に応じて専門家による点検、交換・回収等の措置を講じる。
2, 日常的な点検において、屋外階段も階段部材に著しい汚れや摩耗、変形、赤さびの発生、塗膜面のふくれ又ははがれ、蟻道の発生や昆虫による食害等の著しい劣化現象、腐朽による軟化等の劣化が疑われる不具合又は著しい水分の滞留、水漏れ等が確認された場合は、専門家の点検を受ける。
(専門家による定期的な点検) ※ガイドラインより抜粋
1、 専門家により、竣工から概ね1年以内に初期不良の点検、定期調査報告制度の頻度等も踏まえ、概ね3年以内毎に定期的な点検を受ける。
これまでは木造の屋外階段の維持管理に関する指針等は定められていませんでしたが、今回こうした指針が定められたわけです。
またこれに関連して、これまで建築基準法第8条に基づき共同住宅の所有者や管理者等は、建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成、適切な維持管理に努める必要がありましたが、ここに、木造屋外階段に関する留意事項が新たに追加されました。
木造の屋外階段がある建築物についての維持保全計画の作成に当たっての留意事項として、①維持保全の実施体制、②点検時期、③点検の判断基準、④結果の報告等、⑤修繕工事の実施等、⑥図書の作成・保管等の内容が改めて規定されています。

管理者の役割
木造屋外階段のある物件において、所有者や管理者は維持保全計画を作成し、今回のガイドラインを用いて点検等を行い、劣化等がみられる場合には建築士等の専門家に相談するなど、適切な維持管理に努める必要があります。
まずは、定期的な訪問日を決めることや、訪問時に点検すべきことのチェックシートを作成するなど、物件の変化や異常に気付ける体制作りが重要になってきます。
さらに、国交省は、これまで一級建築士等による3年毎の定期報告が必須ではなかった木造物件にも木造屋外階段の調査基準を明示するとともに、定期調査報告対象への追加を特定行政庁に促すとされています。
今後は木造物件も調査報告の対象になる可能性があり、特定行政庁からの指示に従い、点検及び報告が必要になることも考えられます。
最後に
今回、改正省令や、ガイドラインなどが策定されたものの、点検手法や管理手法などの実施対策の具体化はこれからです。
木造の屋外階段の物件のみならず、ガイドラインをもとに日常的に物件確認を行い変化に気付くことは、今後、より一層管理会社に求められることになると思います。
木造のみならず、物件の維持管理・点検調査など具体的な実施について気になる点があれば当社にお問合せください。